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読み終わったとき出てきた言葉は…

自伝シリーズ第4弾。
友人が送ってくれた田中森一『反転――闇社会の守護神と呼ばれて』を読みました。
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撚糸工連事件等、数々の汚職事件を手掛けた東京地検特捜部のエース検事が、弁護士に転身し、ヤクザ、政治家、バブル成金らと親交を深め、自ら荒稼ぎに荒稼ぎを重ね、やがて逮捕、投獄され…。

田中は1943年、長崎県平戸の生まれ。
本人によれば、当時の日本は誰もが貧しかったが、そのなかでもさらに平戸は貧しく、そのなかでも特に田中の家は最貧で、電気もなく、半農半漁、自給自足に近い、「江戸時代のような」暮らしだったといいます。

いまの子どもたちなら勉強しないと親に叱られますが、田中は勉強しているのを見つかると叱られ(「そんなヒマがあったら働け!」)、中学生のとき参考書を見つけた父は烈火のごとく怒り、それを便所(もちろん汲み取り式)に投げ込んだとのこと。

(ちなみに参考書を買うカネなどなく、それは田中が出版社に「中学校の教員です。生徒に使わせるので見本を送ってください」と手紙を出して、手に入れたものでした。)

ゆえに中学を卒業するとすぐ働かねばなりませんでしたが、父に泣いて頼み、定時制高校へ。
ただ、月、水、金の週3日制で、この3日は朝から夕方まで、それ以外は朝から夜まで働きづめの日々。

で、4年後、国立の(つまり授業料が安い)長崎大、大阪外大を受験しましたが、だめでした。

しかし田中少年はめげません。
旺文社の受験雑誌『蛍雪時代』で目にした和歌山の予備校の理事長に懇願の手紙を出し、その予備校に入れてもらい、昼間働きつつ夜、学びます。

7人いた姉、妹、弟たちはもちろん、中学を出るとすぐ働いていました。
そのきょうだいたちが、月に数千円の給料から、毎月、500円、1000円…と仕送りをしてくれたといいます。

こうして翌年、岡山大学法学部に合格。

4年生のとき、司法試験に合格。

検事に。

許永中の自伝と同じく、ヤクザ、バブル成金につながり、これに群がる政治家が実名入りでばんばん、登場します。
安倍晋太郎、竹下登、森喜朗、小沢一郎…。

また、ドラマではよく政権からの圧力で捜査にストップがかかり、刑事、検事が臍を嚙むシーンが出てきますが、田中が体験したその実例がいくつも綴られています。

なお、田中は2012年に仮釈放されますが、翌々年、急逝。

読み終わって、本を閉じたとき出てきた言葉は…いや、言葉ではなく、「ふぅー」。

by sam0802 | 2020-02-26 10:52 | 読書・勉強  

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